「もっと塾生が増えれば経営は軌道に乗るはずだ。」
「そのために、とにかくたくさんの塾生を集めよう。」
このサイトを訪れる先生は、きっとこう考えている人が多いでしょう。そして多くの生徒を獲得するため、反響の得られるチラシやホームページの作り方を学んでいるはず。
しかし、過去に集客が逆効果になったケースがありました。本来であれば成功事例を紹介したいところですが、このようなケースからも学べることはたくさんあります。
どこの教室か特定できないようボカすことを条件に記事にする許可をいただきましたので、今回はその内容をシェアします。
集客が逆効果になった事例とは…?
その教室から依頼があったのは、今から2年ほど前。
地方の中規模都市にオープンした自立型の個別指導塾で、オーナーは塾業界未経験の50歳台の男性です。教室の近くには大手FC塾をはじめ競合となる学習塾が10以上あり、比較的教育熱の高いエリアと言えます。
新規開校時には塾長が自分でチラシを作り、ポスティングと新聞折込、校門前配布で5万枚ほど配布しましたが反響は2件だけ。その後の4ヶ月間、何度かチラシを配布してみるもまったく反響がないということで「テスト対策チラシ」の制作を引き受けました。
チラシ制作は、電話での打ち合わせとメールのやり取りをくり返しながら進めます。オープンしたばかりでまだ実績のない状況でしたが、塾長も納得してくれる内容のチラシが完成しました。
制作したチラシの反響は上々で、ポスティングと新聞折込で4万枚配布して反響13件。9名の入塾が決まりました。塾長から喜びの電話をもらったときは私もホッとしました。
それから特に連絡もなかったので、「きっと経営も軌道に乗りはじめたのだろう」と考えていました。しかし、最初の依頼から1年ほど経ったころに再び塾長から連絡が。
「いつもお世話になっております」と電話に出ると…
全員退塾。何が起きたのか…?
話を聞くと、近々また定期テストがあるので何とか新規生を集められないかとの相談でした。
教室の現状を聞いて驚いたのが、あのとき入塾した9人の生徒たちが全員退塾していたこと。「退塾には何か理由があったのですか?」と聞いてみても「全然わからない」との返事。怒らないように丁寧に接していたし、特に心当たりがないと言うのです。
1人、2人の退塾なら家庭の事情(経済的な理由や送迎の負担、引っ越しなど)や子ども自身が辞めたいと言ったケースも考えられます。ですが9人全員となると、明らかに違う問題がありますよね。
とは言え、ハッキリとした退塾理由はわかりません。よく塾業界のことを教えてくれる塾長から聞いた話ですが、辞める意思がある場合は引き止められないことがほとんどである上、辞めるときに本当の理由を言ってくる人はごく少数だそうです。
私は9人の退塾理由を考えるため、塾長からできるだけくわしく話を聞き出すことに。得られた情報はそれほど多くはありませんでしたが、話の中から可能性の高い理由が一つ見つかりました。
それは「生徒の成績が全く上がらなかった」ということです。
退塾の理由は成績不振だけではないかもしれません。指導法や環境、コミュニケーションなどにも不満があった可能性もあります。
しかし、学習塾の最大の使命である「成績アップ」という成果を出せなかったことが、せっかく集めた塾生が退塾する致命的な要因となったことはほぼ間違いありません。
この事例から学ぶこと
先生もよくご存じのとおり、学習塾には個別指導や自立型指導、集団指導やこれらをミックスさせたものなど、色々な指導スタイルがあります。
スタイルにより塾長が指導するのか、社員またはアルバイト、映像内の講師が指導するのかの違いはありますが、どの指導スタイルにも共通して求められるのが「成績アップ」です。
あくまで保護者が高い授業料を払う最大の目的は「子どもの成績をアップさせること」で、指導スタイルは成績を上げるための手段でしかありません。
しかし世の中には学習塾の数が多すぎるため、保護者はどこの塾が子どもの成績を上げてくれるのかわかりません。多すぎて選べない結果、知名度や立地、設備、価格、クチコミなどの他の要素から塾選びをすることになります。
無名よりは有名な方が安心感がある、遠いよりは近い方が良い、高いよりは安い方が良い、汚いよりはキレイな方が良いという感じですね。でも、これらは「成績を上げる」という最大の目的に対するオプションに過ぎません。
学習塾が売る商品は「授業」です。そして授業のクオリティを決めるのが講師の指導スキルです。
つまり、指導スタイルに違いはあれど、先生自身に「絶対に子どもの成績をアップさせる」「成績アップこそが最大の使命だ」という熱意と指導力がなければ、チラシやホームページを使ってたくさんの生徒を集めることは逆効果になるリスクもあるのです。
ターゲットは入れ変わるが、噂は入れ替わらない
学習塾のターゲットは卒業、入学をくり返し、毎年入れ替わります。
そのため、一度反響の得られるチラシが作れれば、毎年安定した数の生徒を集めることはそう難しくありません。しかし一度地域に広まった悪い噂は、中3生が卒業したからとすぐに入れ替わるものではありません。
つまり、成績アップという成果を出せないまま集客ばかりに力を入れると「あの塾は良いことばかり言うけど全然成績が上がらないのよ」と悪い噂が広まり、定着するリスクがあるのです。
良い噂に比べて悪い噂は驚くほどのスピードで拡散されます。真偽のほどはわかりませんが「悪い噂は良い噂の10倍で広まる」と言うコンサルもいるほどです。
終わりに
私たちはこれまで200教室以上の生徒募集をお手伝いしてきました。
8~9割の教室は集客に成功していますが、正直に言うと中には上手くいかなかった教室もあります。そして集客に成功した教室の中にも、その後にまた苦戦を強いられた教室や廃業した教室があることも、また事実です。
では、何が集客後の成否を分けるのか?その最大の要因が、この事例でもくり返しお話した「成績アップ体験をさせられたかどうか」です。
私たちは、2019年10月より「新規開校1年未満の教室」からの依頼はお断りしています。
その理由の一つが、今回ご紹介した事例にあるように実績や指導力が伴わないままの集客は誰も幸せにならないからです。(もう一つ大きな理由がありますが、長くなりますのでまた別の機会に…)
きっとこのページをご覧の先生は、ご自身の指導力に自信をもっているはず。そして、その自信はこれまで指導したたくさんの生徒たちを実際に成績アップさせてきたという経験から得たものでしょう。当然、一朝一夕で得られた自信ではないはずです。
反響の得られる広告は、特効薬にも劇薬にもなります。
このサイトで紹介しているノウハウを使えば、先生自身の手で反響の得られるチラシを作ることも可能です。ただその前に、広告が劇薬にならないようしっかりと地固めしておかなければなりません。