先生は、「1年間の集客サイクル」について考えたことがありますか?
もし、考えたことがないとしたら、今回お伝えする内容は反響が取れるチラシを作ること以上に大切になるかもしれません。
なぜなら、「どの時期に、どんな内容のチラシを配布すれば反響が得やすいのか」という、チラシを作る前の段階の話だからです。
この部分を理解していないと、期待するような反響が得られないばかりか、広告費をムダにしてしまうことにもなりかねません。
このことをより身近に感じてもらうため、2年前にあった事例をお話しましょう。
今から、ちょうど2年前の夏です
私たちは、生徒募集に悩む個人塾の塾長から、チラシ制作のご依頼をいただきました。
その教室は、駅前のライバル塾が多い立地で開業から約3年、個別指導の授業をおこない、生徒数は20人ほどの教室でした。
塾長の希望は、弊社でもオススメしている「テスト対策チラシ」です。
時間をかけて打ち合わせをおこない、何度もデータのやり取りをしながら、10月の中間テストに向けてチラシの制作を進めました。
結果からお伝えすると、反響数は15件。12人の新規生を獲得し、生徒募集は成功することができました。
しかし、それから数ヶ月が経ったある日。私たちは、再び塾長から相談の電話をいただきました。
くわしく話を聞いてみると、中3生が卒業してしまったことで、半数以上の生徒が卒塾してしまったとのこと。塾生の比率は、中3生が多くを占めていましたので大ダメージです。
慌てた塾長は、10月の集客に成功したチラシを自分で修正し、新聞折込を使って2万枚配布しましたが反響は2件だけ…。何とか生徒を集める方法はないか、というご相談でした。
一度は生徒募集に成功したのに、なぜ、こんなことになるのでしょうか?その答えが、「年間の集客サイクル」という考え方の中にあります。
「年間集客サイクル」という考え方
学習塾の集客というのは、1年間を通して大きな波があります。つまり、多くの生徒を獲得できる時期もあれば、生徒を集めるのが難しい時期もあるということ。
先生もきっと、この事実にはうすうすお気づきのはずです。とは言え、具体的にどんな違いがあるのかまでは考えたことがないかもしれません。
たとえば、1年の中にどんなサイクルがあるのか、「テスト対策チラシ」で考えてみましょう。
春の1学期中間テストは、新1年生にとっては初めてのテストになります。ですがこの時期、学校ではさまざまなオリエンテーションがおこなわれ、授業はそれほど先へは進みません。
結果的に、テスト範囲は狭くなりますので、多くの1年生が良い点数を取ることができます。そのため、1学期中間テストの時期には、1年生はそれほど塾の必要性を感じません。
1学期中間(期末)テスト
新1年生は、テストで良い点数を取れることが多く、塾の必要性を感じにくい。メインターゲットは、2年生、3年生となる。では、1学期期末テスト以降を考えてみます。期末テストは、中間にくらべるとテスト範囲がグッと広くなりますので、中間テストで良い点数を取れた子どもも、大幅に点数が下がるケースが出てきます。
すると、2学期の中間テストの時期には、保護者は「また、悪い点を取ってこないだろうか…」、「次こそは、良い点を取って欲しい。」と考えるようになります。
その結果、2学期の中間、期末テストの時期は、1~3年生のすべての学年の生徒に対し、塾のニーズが高まることになります。
2学期中間、期末テスト
新1年生の多くは、1学期期末テストではじめて悪い点数を経験する。そのため、2学期の中間テストの時期には、保護者も「また悪い点を取ってこないだろうか…」という不安を抱えることになる。つまり、2学期は中間、期末テストともに、1~3年生すべてに対し塾のニーズが高まりやすく、1年間の中でも反響が得やすい。続けて、3学期を考えてみます。
3月前後の学年末テストの時期は、中3生の高校受験と重なりますので、当然、3年生の獲得はほとんど期待できません。必然的に、1~2年生がメインのターゲットとなるでしょう。
また、2学期の中間、期末テストの時期にくらべると、3年生がまるっと抜け落ちる形になりますので、反響の取れた実績のあるチラシであってもこの時期には反響が下がることが容易に想像できると思います。
3学期学年末テスト
この時期は、中3生の受験とかさなるケースが多く、テスト対策チラシでは3年生の獲得は難しくなる。そのため、メインターゲットは1年生、2年生となる。つまり、1~3年生まで、すべての学年を獲得しやすい時期は、2学期の中間、期末テストの時期。
テスト対策チラシで生徒数をぐんと増やしたいなら、この時期は絶対に外してはいけないということになります。
このように、「どの時期に、どの学年を集客しやすいのか」という傾向を踏まえ、年間集客を考えていかなければならないのですが…
「テスト対策チラシ」だけで万全なのか?
一般的な中学校では、1学期中間・期末、2学期中間・期末、学年末テストと、1年間にテスト対策チラシで集客できるタイミングは「5回」あります。(2期制の学校では、この限りではありません)
高い反響の得られるチラシであれば、この5回のタイミングでチラシを配布するだけでも、かなりの数の生徒を集めることができるでしょう。
しかし、おなじ時期におなじチラシを配布したとしても、反響は必ず一定になるわけではありません。毎年、ある程度の傾向はあるにしろ、多い年もあれば少ない年もあるでしょう。
また、体験授業から入塾へと引き上げる確率も一定ではありません。15人の体験から10人の新規生を獲得できることもあれば、15人の体験から3人しか獲得できないこともあるかもしれません。
その場合はすぐに「次なる一手」を打つ必要があります。
たとえば、テスト対策チラシで思うように生徒を獲得できなかった場合は、すぐに、テスト終了後のタイミングで集客できる「補講チラシ(テストの点が悪かった教科の見直し)」を配布する。
3学期は、中3生を獲得できないので、通常のテスト対策チラシとは別に「新中1生(小6生)」をターゲットにしたチラシを同時に配布する。
このような戦略が必要になるのです。
特に、ターゲットとなる中学校が2期制の場合は、次のテストまで期間が空きすぎてしまいますので、このように次の一手を用意しておくことは欠かせません。
広告の効果は100%ではありません。上手くいくこともあれば、上手くいかないことも当然あります。
だからこそ、いざ生徒が辞めてしまってから慌てて募集をかけるのではなく、1年間の集客サイクルに則って、集客しやすい時期に生徒を集めておくことも大切になるのです。